director

代表理事 あいさつ

開会の挨拶

吉原 健二
一般社団法人日本医療経営実践協会代表理事

 新型コロナウイルス感染症が収束しない中ではありますが、「第10回全国医療経営士実践研究大会・WEB大会」の開催に至ることができましたことに、心より感謝申し上げます。本大会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から前回同様、無観客で開催することとなりました。オンラインで全国各地からご参加いただいている皆さまに、厚く御礼申し上げます。
 開催にあたりましては、厚生労働省をはじめ、多くの団体からご後援をいただくとともに、企業からのご協賛もいただきました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。
 一般社団法人日本医療経営実践協会は、医療機関をマネジメントする上で必要な医療および経営に関する知識と、課題解決能力、実践的経営能力を備えた人材「医療経営士」の育成・養成を目的に創立され、昨年10周年を迎えました。創立から2年後の2012年11月に「第1回全国医療経営士実践研究大会・東京大会」を開催し、今回が10回目の開催となります。
 2010年9月に実施した第1回「医療経営士3級」資格認定試験で、初めての合格者390人が誕生してから10年を経過し、2021年9月現在、医療経営士3級1万921人、医療経営士2級1,615人、医療経営士1級97人となり、全等級を合わせた医療経営士の会員数は1万2,633人にのぼります。
 今般の新型コロナウイルス感染拡大の影響で国民生活や社会・経済活動は大打撃を受けています。度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令により景気は停滞し、企業は厳しい経営環境が続いています。医療機関も同様です。感染拡大による医療崩壊を防ぐために、通常医療の制限を視野に入れるように求められるなど、医療経営は今まで経験したことのない状況下に置かれています。
 一方、コロナ禍はデジタル化を加速させるなど、わが国の生活様式に大きな変化をもたらしています。オンライン活用により在宅勤務や地方からのリモートワークが可能となり、多様な働き方が広まっています。医療においても、電子カルテ、オンライン診療、AIを活用した診断支援など、社会全体のデジタル化が進む中で、今後、医療のあり方、医療従事者の働き方は大きく変わっていくことでしょう。
 本会におきましてもWEBの活用により、研究会・勉強会が全国に向けて配信することで、各地域の医療経営士が参加しやすくなり、以前にも増して医療経営への習熟度が高まっています。
 しかし、全国約8,200病院、約10万3,000診療所で働く医療経営士の方は、1,992人程度と会員全体の2割にも達していません。医療経営士がその能力を発揮して病院経営を支えていくには、1病院当たり2~3人の配置が必要でしょう。そのため、会員数2万人を目標に、病院に所属する医療経営士を増加させ、その能力・知識の向上に努める所存です。
 さて、コロナ禍において、医療経営士は従来のように医療機関の中で医療のあり方を考えるだけでなく、地方、地域に目を向け、医療のあり方を再考し、進化、発展させていくという新たな役割が期待されていると考えなければなりません。医療経営士の方々は、「経営」という面から医療に携わる専門的な人材であるということを再認識し、コロナ禍という難局に立ち向かう覚悟と使命感を持って仕事に臨んでいただきたいと思います。そして、コロナ禍を教訓として、コロナ後の新しい時代にふさわしい持続可能かつ質の高い医療提供体制を構築し、医療および医療経営崩壊を起こさないようにしなければなりません。それには、医療経営士の英知を結集することが重要になるのです。
 以上に述べたような現状と問題意識を踏まえ、本大会のテーマは「医療経営士が挑むポストコロナ時代の医療改革──今こそ英知を結集し、マネジメントを進化させよう」と致しました。30日間にわたりWEB配信される本大会が、有意義で実り多いものとなり、その成果がコロナ収束後の医療経営士の活動指針となることを願うばかりです。
 最後になりましたが、各プログラムにご登壇いただく先生、医療経営士の皆さまには、本大会の趣旨にご賛同いただき、快くお引き受けくださいましたことに厚く御礼申し上げます。また、このようなたいへんな時期にもかかわらず、大会運営委員長として開催にご尽力いただきました本会参与の真野俊樹先生に感謝申し上げます。
 本大会の開催が、医療界の発展に大きく寄与できますことを祈念いたしまして、開会のご挨拶とさせていただきます。

令和3年9月