吉長 成恭(一般社団法人日本医療経営実践協会理事)
演題発表審査委員長
スペインが生んだ世界的画家、巨匠サルバドール・ダリ(1904-1989)。サルバドールはスペイン語で“救世主”の意。「天才を演じ続けよ。そうすればお前は天才となるのだ!」と育てられ、自らも天才を自称し、類稀な数々の傑作を世に遺しました。
ミスタープロ野球と称された長嶋茂雄氏は、現役時代、観客が天才と呼ぶなら、天才を演じようとバッターボックスで球史に輝く数字を刻みながら日本のプロ野球界を牽引しました。
医療経営士は、医療の質を守りながら経営的視点で病院の未来を描く専門家として、「変化への対応」と「多職種連携のハブ」の役割を担います。
経営の“プロ”である医療経営士に求められる姿とは、
1.地域社会が求める姿は、「病院の中の専門職」ではなく、「地域の未来を共につくる“共感力と行動力のあるリーダー”」
2.スタッフが期待する姿は、「現場を理解し、職員の声に耳を傾け、信頼と納得をもって改善に導いてくれる存在」で、「頼もしい味方」であり、「現場と経営の架け橋」として、一緒に病院を良くするパートナー
3.理事長や院長が望む姿は、「経営の言語で現場を動かし、現場の声を経営トップに届ける実践型リーダー」であり、病院の未来を共に担う信頼に値する片腕であり、変革を実践できる人材です。
少子超高齢化の加速・医療費の増大・医療従事者の人材確保といった課題を背景に、医療経営士の役割は今後ますます重要になってきます。医療経営士としての責任と誇りを胸に、謙虚に、冷静に、そして熱意を持って実働する人材であることが、医療経営士に最も求められる“自覚”です。
この自覚とコミュニケーション力を武器に、数字や戦略だけでは動かない現場において実践と対話と信頼で人と組織を動かし、病院と地域の未来をつくる戦略的実務家として、病院経営および「地域社会の健康と安心をつくる中核的存在」としての活躍に期待が高まっています。
本年は協会設立15周年に当たる記念すべき年で、コロナ禍後、初となる2日間会場開催の大会です。また、神奈川県の医療経営士の方々が自ら招致活動を行い開催される、“医療経営士の 医療経営士による 医療経営士のための”大会です。さらに加えて、過去最多の広島大会(2017年)に並ぶ19人の演題発表の舞台をご用意しています。
大会では、全国で活躍する医療経営士の方々の日々の実践研究の成果を共有し、期待される医療経営士の姿を実感する機会とするとともに、その成果をそれぞれの現場に持ち帰り最大限に活かしましょう。
吉長 成恭
◎よしなが・はるゆき
1952年広島県生まれ。脳神経内科医、医学博士、商学修士、漢方専門医。研究分野は、医療経営学、ヘルスケア・マーケティング、園芸福祉/園芸療法、感性デザイン&マーケティング。広島大学医学部第三内科、医局長、講師を経て、広島修道大学大学院商学研究科博士後期課程商学学専攻(広告論)、広島大学大学院社会科学研究科博士後期課程経済学専攻(ファイナンス講座)。パリ大学アジア・オリエント部門講師、国立パリ商学高等研究院(エコール・ド・コマース)講師、国際標準化機構ツーリズム&関連サービス技術委員会国際登録委員(ISO/TC 228 Tourism and related services Global Directory registered)(経済産業省基準認証ユニット)、国土交通省PPPサポーター(国土交通省総合政策局社会資本整備政策課)。主な著書に、『医療・福祉PFI 』(共著、日刊工業新聞社、1999年)、『実践・医療福祉PFI 』(共著、日刊工業新聞社、2001年)など。2018年6月より一般社団法人日本医療経営実践協会参与に就任、2024年6月より同理事に就任、現在に至る。